ユニバーサル上映映画祭公式ブログ

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ユニバーサル上映映画祭にみる映画芸術の文化性②

映画芸術の文化性を考察する

・感動を分かち合う人と人との繋がりの中に育まれてきた文化性  

 私たちは、音声ガイドやミュージックサインなどのユニバーサル上映環境を作製する上で、視覚障害者や聴覚障害者と一緒に隣の席で感動を分かち合うことをイメージしながら、一つひとつの映画を深く読み解き、手作りで丁寧に作り上げてきました。 その実践を通して、映画作品に込められた凝縮された圧倒的なエネルギーに触れ、その度に総合芸術である映画の文化性の奥深さに出会わせていただくこととなりました。

 目から入る情報と耳から入る情報を透明化した時、その行間や背景にある感動の本質がはっきりと見えてくる・聞こえてくるのです。

 これは映画は目で見るものではない。音楽は耳で聞くものではない。心で感じるものだということの核心です。 総合芸術である映画に凝縮されたエネルギーは、決して表面的な感覚で感じるものではなく、人間の本質的なところ、心の深いところを揺れ動かすのです。

 そして、この感動の波動は、自分一人だけの心に収められない感動の余韻となって、 大切な誰かと共有したくなる気持ちが自然と込み上げてくるのです。

 私たちは、大切な仲間である視覚障害者や聴覚障害者と一緒に感動を分かち合いたいという気持ちで寄り添う実体験を通じて、この大切なことに気づかせていただくことができました。 このように映画の歴史は、一人で鑑賞して完結してしまうものではなく、感動の余韻を分かち合い・語り合うという人と人との繋がりを作り出すことで発展してきた実に奥深い文化なのです。