ユニバーサル上映映画祭にみる映画芸術の文化性①
北海道ユニバーサル上映映画祭の特徴としては、全ての上映作品に音声ガイドやミュージックサイン、日本語字幕などのユニバーサル上映環境を全てオープンライブ方式で実施し、会場内の臨場感と共鳴感を大切にして、誰でもが同じ場所・同じ瞬間を共有することを目指しています。
視覚障害者や聴覚障害者はもとより障害健常の隔てなく子供からお年寄りまで、同じ空間を共にする全ての人が感動を分かち合う『みんなでたのしむ映画祭』です。
ユニバーサル上映環境による映画鑑賞は、感動を様々な人と共有しているという一体感が、相乗的に一層魅力的なものとして、他では味わうことのできない貴重な感動体験を生み出してくれます。
スクリーンを見ずに、音声を聞かずに映画鑑賞を楽しんでいる人が、同じ場所・同じ瞬間を共にして、同じ感動のシーンを共有し、時に涙し、笑い、心震える瞬間を共に分かち合っているのだということが、自然と心に広がる優しさの波紋となって、何とも言えない感動体験を与えてくれるのです。
映画は感動の余韻を分かち合い・語り合うことで歴史的に発展してきた文化。私たちは総合芸術である映画分かのユニバーサル(普遍性)の可能性を追求してまいります。
北斗上映会のご案内その5・「共同開催北斗市福祉まつり」
北斗上映会当日(9月23日)のかなで~る(北斗市総合文化センター)は、会場全体が丸ごと福祉のお祭りの柔らかな雰囲気に包まれます。
北斗市公式キャラクター・ずーしーほっきーのふわふわドームも初登場です。
どうぞ笑顔にあふれる福祉のお祭りを、ぜひ映画鑑賞と合わせてお楽しみください。
・共同開催:~広げよう笑顔の輪~ ふれあい福祉まつりin北斗
午前10時~午後2時
主催:北斗市社会福祉協議会、北斗市福祉まつり実行委員会
・ずーしーほっきー なまものどぉーむ(ふわふわドーム) 登場
・食堂コーナー
おでん、カレーライス・やきそばなど
・いろいろ体験コーナー
餅つき体験、高齢者疑似体験、盲導犬ふれあい体験、ふまねっと・ずーしーと一緒に体操
・縁日で楽しもう
やきとり・くじ、スーパーポールすくい、ラムネ・かき氷
・わからないことは聞いてみよう
薬についての相談、介護に関する相談 など
・いろいろな作品をつくっちゃおう
おもちゃづくり、マジックショー など
・あなたの健康チェック
ストレスチェック、血管年齢・メタボチェック、栄養状態チェック など
・展示物見学やお店にも寄ってみよう
ファイターズ車椅子・各種競技用車椅子展示、おしま菌床きのこセンター産しいたけ販売
ふまねっと活動パネル展示、福祉車両展示、授産施設製品販売、介護食試食・展示
・楽しいイベント
福祉団体カラオケ大会、赤い羽根キャンペーン、イヌ・ネコ譲渡会(みらい)、日赤救急法
・炊き出し
北斗上映会のご案内その2・上映作品「つむぐもの」ご紹介
今回は上映作品「つむぐもの」のご紹介をさせていただきます。
介護関係者の皆さま、福祉関係者の皆さま、ぜひ必見です。
・映画「つむぐもの」公式サイトです。
・作品紹介
定職もなく、実家でぶらぶらしているのも苦痛になって来たヨナ(キム・コッピ)は、ワーキングホリデーで韓国から福井にやって来る。彼女は越前和紙づくりの手伝いをすることになっていたが、いきなり師匠となるべき職人の剛生-たけお(石倉三郎)が脳腫瘍で倒れてしまう。ヨナは妻を亡くして から1人で暮らす剛生の介護を始めるが、彼は毒づくばかりで・・・・。
監督:犬童一利
第12回北海道ユニバーサル上映映画祭北斗上映会のご案内その1
☆第12回 北海道ユニバーサル上映映画祭 北斗上映会
●期日:2017年9月23日(土・祝)
●会場:北斗市総合文化センターかなで~る(小ホール)
住所:北斗市中野通2丁目13番1号
●主催:北海道ユニバーサル上映映画祭実行委員会
●共催:北斗市かなで~る協会、北斗市社会福祉協議会、北海道教育大学函館校、日本福祉のまちづくり学会北海道支部
●後援:北海道、北海道教育庁渡島教育局、ほか 多数
●お問い合わせ事務局
UD企画函館(TEL:0138-55-1855) メール <udkikaku@hotweb.or.jp>
※無料臨時送迎バスを運行いたします。
函館視力障害センター前←ー→函館市総合福祉センター←ー→かなで~る
●タイムテーブル
9月23日(土)
09:30~ 開場
10:00~ 「つむぐもの」第1回目上映(109分)
13:00~ 「つむぐもの」第2回目上映(109分)
◆映画鑑賞チケット:一般 800円(当日券1,000円)
◆かなで~る会員割引チケット:一般:700円
◆子どもたちの心を育む企画 高校生以下は全て無料でご鑑賞いただけます。
インクルージョン・インタビュー記事のご紹介
フリーペーパー @h Vol.52 2016年秋号新装刊[特集]「障がい」と共に生きる より
・@h l 南北海道のボランティア・NPO・NGO情報
http://www.hif.or.jp/volut/index.html
インタビュー記事
障がい者と社会の分断解消のために
北海道ユニバーサル上映映画祭実行委員会代表 島信一朗さんに聞く
島信一朗/1969年札幌市生まれ。一般社団法人函館視覚障害者福祉協議会理事長、インクルーシブ友の会代表。函館市在住。
視覚や聴覚に障がいを持っていても楽しむことのできる「北海道ユニバーサル 上映映画祭」は、今年で11回目を迎える。全上映作品に日本語字幕と音声ガイドが付けてあり、映画の中で使われる音楽や効果音を手話や動作、絵などを使って視覚的に表現する「ミュージックサイン」の取り組みが導入されている。一般的な映画館に 行くことをためらっていた人たちを含め、あらゆる人が楽しめる環境がつくられている。これまでの取り組みがバリアフリー化の推進につながっているとして、今年1月には国土交通大臣表彰を受けた。
島さんは大学生だった21歳のとき、交通事故で視力を失った。障がい者や健常者といった区別を超え、「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」ことを目的とする「インクルージョン」の理念の実現のために、さまざまな活動に取り組んできた。その一つがこの映画祭だ。
2004年、島さんは全盲の水泳選手を描いた映画上映に協力した。その際、障がいを持つ人も楽しめる上映会にしたいというスタッフの思いにふれて感動すると同時に、人の心を動かす映画の魅力にひかれたことが映画祭を始めた原点だという。
映画祭では、障がい者と健常者が同じ会場で作品を鑑賞する。「音声ガイドやミュージックサインなどの工夫で、同じシーンで笑ったり泣いたり感動できていることを、全ての人が共有できます。感動する体験を共有する機会として、映画はぴったりだと思います」。障がい者だけではなく、あらゆる人がその空間 を共有することで、障がい者と社会との「分断」を解消したいという思いが、この映画祭には込められている。
取り組みの積み重ねにより、映画祭にはうれしい変化も生まれていた。「この10年間での子供たちの意識の変化を感じています。以前、映画祭のワークショップに参加した子供が大人になり、運営スタッフに加わったり、教育大函館校の学生が授業の一環として関わったりしています」。大学生は上映作品選びのほか、映画を鑑賞した人たちが感想を共有できる場づくりの企画も行っている。
若い世代の意識の変化を感じる一方で、島さんは映画祭の取り組みがこれまで以上に社会に必要とされていると感じているという。今年7月に神奈川県相模原市の障がい者施設で起きた殺傷事件について、「障がい者を社会から分断した社会構造が原因の一つではないでしょうか。この分断を解決するのがインクルージョンだと考えています」と語り、障がい者や健常者といった区別を超え、違いを持つ人間同士が混ざりあって生活する社会の重要性を指摘する。事件を受け、厚生労働省は福祉施設の防犯対策に10億円規模の予算を付けた。もちろん防犯対策は侵入者を防ぐには有効だが、障がい者が排除されない社会の実現のために、インクルージョンの理念に基づく行動が私たちに求められるだろう。
2020年には東京でオリンピック、パラリンピックが開かれる。これは日本の「おもてなし」に全世界の注目が集まる機会だ。「東京開催に向け、公立はこだて未来大学とインクルージョンのデザインについての研究をしています。日本ならではのインクルージョンを理解してもらう良い機会。研究成果を開催本部へ提案することも考えています」
そう語る島さんは、最近マラソンを始めたそうだ。「障がい者が子どもに伴走してもらいながら走れば,子どもたちにいろいろなことを考えてもらえると思うんですよ」。将来の「インクルーシブ」な社会を支える人材育成のアイデアが、島さんの胸の中にはまだまだあるに違いない。